2025年5月30日
現代人に共通する身体的な不調の根底には、「浅い呼吸(シャローブリージング)」という見落とされがちな問題があります。慢性的な疲労感、集中力の低下、自律神経の乱れ、さらには代謝不良まで――その影には“呼吸の質”が大きく関与しています。
特に、長時間のデスクワークやスマホ操作などによって猫背になりやすい現代人にとって、「浅い呼吸」は日常の“当たり前”となりつつあります。しかし、それは体内に深刻な問題を引き起こしているのです。
本記事では、浅い呼吸がもたらす健康リスクを医学的に解説するとともに、姿勢との関係、呼吸を改善する実践法「ドローイン」、そしてストレスとの生理学的つながりについても掘り下げていきます。
浅い呼吸とは、胸郭上部のみに空気を入れる呼吸で、横隔膜を十分に使わない胸式呼吸に偏った呼吸パターンを指します。
横隔膜は、腹部と胸部を隔てる筋肉で、呼吸の約70%に関与する主要な呼吸筋です。正常な呼吸では、横隔膜が下に引っ張られ、肺に空気を効率よく送り込みます。この過程で副交感神経が優位になり、心拍数が下がり、リラックス状態が生まれます。
しかし、浅い呼吸が続くと、この横隔膜が使われず、首や肩の筋肉が代償的に呼吸に関与するようになります。これにより、筋緊張・疲労・ストレス状態が慢性化します(Boiten FA, 1998)。
猫背などの不良姿勢は、肋骨の動きを制限し、横隔膜が下方に動きにくくなることで呼吸が浅くなります。特に、前傾姿勢や巻き肩は、胸郭が潰れて肺活量を減少させます。
ある研究では、姿勢を矯正することで最大呼気量(VC)が平均15%以上改善されたと報告されています(Lee & Lee, 2016)。つまり、姿勢と呼吸は密接に連動しており、良姿勢は「深い呼吸」の鍵なのです。
交感神経の過活動:浅い呼吸は交感神経を刺激し続け、慢性的な緊張・不安・高血圧・免疫力低下を引き起こします。
低酸素状態:血中酸素濃度が低下し、集中力・記憶力・判断力が低下。酸欠状態は長期的にはうつ症状を引き起こすことも。
肩こり・頭痛・めまい:呼吸補助筋の過活動により、僧帽筋や胸鎖乳突筋が硬直。脳への血流も低下します。
消化不良:副交感神経が抑制されると、胃腸の働きも弱まり、便秘や下痢を引き起こしやすくなります。
「ドローイン」は、腹横筋を活性化させながら行う呼吸運動の一種で、体幹のインナーマッスルを鍛えながら呼吸の質を高めるトレーニングです。
仰向けになり膝を立てる
鼻から息を吸いながらお腹を膨らませる
口からゆっくり息を吐きながら、お腹をへこませる
この状態を10秒ほどキープ
この動作により、横隔膜と腹横筋が連動して働き、自然な腹式呼吸が身につきます。
呼吸は自律神経に直接影響を与える“唯一の手動操作可能な生理機能”です。深い呼吸によって副交感神経が優位になり、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が抑制されます。
呼吸数を意識的に下げると、脳内の扁桃体(感情処理中枢)の活動が抑制されます(Zelano C. et al, 2016)。
これは、不安・焦燥・怒りといった感情を緩和する効果があります。
筋トレエステ銀座では、EMSによる横隔膜・体幹部刺激とドローイン指導を組み合わせた「呼吸改善プログラム」を導入しています。
また、姿勢解析システムを用いた猫背チェック・骨盤位置の可視化などにより、呼吸と姿勢の連動を科学的にサポート。呼吸が変わるだけで、肌つや、代謝、睡眠の質が向上し、美容にも好影響が現れるのです。
呼吸は生命活動の基盤であり、浅い呼吸は全身の機能低下を引き起こす。
猫背は呼吸の質を下げる最大要因。
ドローインやEMSを用いた呼吸トレーニングで、ストレス・代謝・自律神経バランスが改善。
呼吸は美容・痩身にも直結する“隠れた鍵”。
「猫背×浅い呼吸×代謝不良」の負のループを断ち切るには、今すぐ専門家のチェックを受けましょう。
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Boiten FA. (1998). The effects of emotional behaviour on breathing patterns in healthy individuals. Respiratory Physiology.
Lee, J., & Lee, S. (2016). Effects of posture correction on lung function. Journal of Physical Therapy Science.
Zelano C. et al. (2016). Nasal respiration entrains human limbic oscillations and modulates cognitive function. The Journal of Neuroscience.
『病気がみえる vol.4 循環器』 医学書院.
Guyton & Hall. Textbook of Medical Physiology (13th edition).
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 呼吸理学療法ガイドライン.