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レントゲン・CT・MRIに異常なし──それでも「痛い」理由とは? ―現代医療が挑む“見えない痛み”の正体

2025年6月27日

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スポーツEMSトレーニング

レントゲン・CT・MRIに異常なし──それでも「痛い」理由とは?

―現代医療が挑む“見えない痛み”の正体


はじめに:検査で「異常なし」なのに、なぜ痛みがあるのか?

「MRIもレントゲンもCTも異常はありません。でも、ずっと腰が痛いんです。」

これは、整形外科やペインクリニックの現場で頻繁に耳にする言葉です。医師の立場からすると、「器質的異常がない」=「病変の証拠が画像診断で見つからない」という状態。ところが患者は明確に「痛み」を感じています。
この“見えない痛み”は、どうして起きるのでしょうか?


神経科学から解く「痛みの正体」

◉痛みは脳で作られる感覚体験

痛み(pain)は単なる身体的刺激ではなく、「感情」や「記憶」などと密接に関連した主観的体験です。
定義としては、国際疼痛学会(IASP)は痛みを以下のように定義しています。

「実際の組織損傷、またはそのような損傷の可能性を伴う、またはそれに似た不快な感覚および情動体験」
― International Association for the Study of Pain (IASP)

この定義からもわかるように、身体に損傷がなくても痛みは存在しうるのです。


画像で“見えない”痛みの原因

① 中枢性感作(Central Sensitization)

慢性痛で最も多く関与するとされるのが中枢性感作です。
これは、脊髄や脳といった中枢神経系が過敏になり、本来は痛みと感じないような刺激を痛みと解釈する状態を指します。

🔬【関連症例】

  • 線維筋痛症(Fibromyalgia)

  • 慢性腰痛(Chronic Low Back Pain)

  • 顎関節症(TMD)など

【メカニズム】

  • 小さな刺激でも過剰反応

  • 痛みの「抑制回路」が破綻

  • グリア細胞の活性化による神経炎症


② 末梢神経の過敏化(Peripheral Sensitization)

組織損傷の修復後も、神経終末が過敏になってしまう状態です。たとえば、打撲や捻挫のあと、組織は治癒しているのに痛みだけが残るというケースがこれに該当します。

原因となる分子:

  • プロスタグランジン(PGE2)

  • サブスタンスP

  • ブラジキニン


③ 痛みの“記憶”と脳内可塑性

脳には「痛みを記憶する」性質があります。海馬や扁桃体、前帯状皮質(ACC)が関与し、過去の痛み体験が現在の痛覚に影響を及ぼします。
このような脳内の**神経可塑性(Neuroplasticity)**により、痛みは消えずに「染み付く」可能性があります。


関連する心理社会的要因(Bio-Psycho-Social Model)

以下のような要因も痛みに影響を与えることが知られています。

  • 不安・うつ・ストレス

  • 睡眠障害

  • トラウマ体験

  • 職場や家庭での心理的負荷

これらの影響により、**痛みは単なる生理現象ではなく「全人的な体験」**となるのです。


レントゲンやMRIでは見えないが、現実に存在する「機能性疼痛」

例:「慢性腰痛」

MRIで椎間板ヘルニアが見つかっても無症状な人が多い一方、まったく異常がないのに強い腰痛を訴える人もいます。これは画像診断では見つからない「機能性疼痛」と言われます。

例:「線維筋痛症」

筋肉や関節の慢性広範囲痛を訴えるが、レントゲン・血液検査・MRIなど、すべてに異常がない。中枢性感作による典型例です。


脳と神経のリハビリとしての電気刺激(EMS)の可能性

筋トレエステ銀座などで導入されている**EMS(Electrical Muscle Stimulation)**には、筋収縮の誘導だけでなく、**脳と神経ネットワークの再構築(Neuromodulation)**への貢献が期待されています。

EMSの働き:

  • 筋収縮による固有受容器刺激 → 脊髄反射系への影響

  • 体性感覚刺激による痛覚再調整

  • 自律神経系への影響(迷走神経反射など)

このようなアプローチは、画像では「異常なし」とされた慢性痛に対して、非侵襲的で安全な代替手段となる可能性があります。


■まとめ:痛みは“見えない”が、存在する

検査結果 痛みの正体 治療の方向性
画像異常なし 中枢性感作・神経過敏 神経調整・心理支援・運動療法
組織損傷なし 痛み記憶・ストレス性痛 認知行動療法・神経調整
複合的要因 Bio-Psycho-Social 多職種連携型治療

■参考文献

  • IASP. International Association for the Study of Pain. https://www.iasp-pain.org/

  • Apkarian AV, et al. Human brain mechanisms of pain perception and regulation in health and disease. Eur J Pain. 2005.

  • Tracey I, Mantyh PW. The cerebral signature for pain perception and its modulation. Neuron. 2007.

  • 線維筋痛症診療ガイドライン 2017 日本線維筋痛症学会


中枢性感作(Central Sensitization)とは何か:見えない痛みの生理学的メカニズム


1. 中枢性感作の定義と全体像

中枢性感作とは、脊髄や脳において神経伝達が過剰に強化され、痛みを感じやすくなる現象です。これは、怪我が治っていても「しつこい痛み」や「少しの刺激でも強く感じる痛み(過敏症)」の原因となる脳神経系の変化です。

  • IASPの定義:「中枢神経系の中で、通常の入力またはそれ以下の入力に対しても痛みが増幅される状態」

  • 組織に損傷がなくても生じるため、伝統的な画像検査では異常が見えません。


2. エピソードと臨床事例:世界中からの報告

線維筋痛症(Fibromyalgia)

  • 全身性の慢性痛と多臓器症状を伴う

  • 脳のグルタミン・GABAバランスの異常、灰白質の構造変化がfMRIで観察

  • 典型的な慢性中枢性感作の例

複合性局所疼痛症候群(CRPS)

  • 手術・外傷後、激しい痛みと過感覚の発症

  • NMDA受容体・P2X4R経路、ミクログリア活性化が関与

頸部むち打ち(Chronic WAD)

  • 頸部外傷後、手足にも痛みが拡散

  • 侵害受容反射が過敏化し、他部位にも反応閾値低下が生じる

慢性緊張型頭痛(Tension headache)

  • 光や騒音で頭痛誘発

  • NO合成や神経化学の異常が中枢敏感化と関連

アスリートのオーバートレーニング

  • 激しいトレーニングにより中枢神経に“過剰な負荷”がかかり感受性が亢進
    ※Reddit上でも「マグレインの閾値低下現象として、正常機能の中枢敏感化が過剰反応となる例」として言及


3. 解剖生理学的メカニズム

脊髄レベル:シナプス可塑性

  • グルタミン、サブスタンスP、BDNFなどがAMPA/NMDA受容体を刺激し、長期増強(LTP)を誘発

  • 小さな刺激でも過剰な脊髄反応が起こり、光の痛みなどが増幅される

脳幹・皮質レベル:抑制系の崩壊

  • GABA・グリシンによる痛み抑制が失われることで中枢全体が過敏化

  • NMDA依存的にERK・PKC・CREBなどが活性化され、疼痛記憶が定着

免疫・神経炎症・遺伝子制御

  • ミクログリアによるサイトカイン放出、P2X4R経路 → 中枢感作増強

  • ヒトモデルでヒストンメチル化変化が確認されており、慢性痛がエピジェネティックに固定化される可能性


4. 理論モデル:nociplastic pain 概念

2017年、IASPは「nociplastic pain(神経形質的痛み)」として分類。
これは中枢性感作を基盤とし、組織損傷も神経障害も説明できない痛みを対象とする医学的新概念です


5. エビデンスに基づく評価手法

  • 神経刺激による侵害受容反射テスト(例:WAD研究)で中枢過敏を客観評価

  • fMRI・PETでの脳・脊髄過敏領域の可視化

  • MRSでグルタミンやGABA濃度を測定し、神経化学の変化を定量化


6. 対応戦略:治療と再統合のアプローチ

構成的マルチモーダル療法

  • 薬物療法:NMDA拮抗薬、抗うつ薬(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、ガバペンチノイド

  • 神経調整療法:TENS・EMSによる感覚再学習

  • 心理療法:認知行動療法、痛みの教育による認知再構築

  • 運動療法:段階的なリハビリと身体イメージの再構築

最新の実践例

  • オリンピック選手の怪我後に、中枢性感作を想定した神経リハビリ+マインドフルネス併用で早期競技復帰


7. なぜ原因不明に見えるのか?そしてどう向き合うべきか

課題 理由 対策
画像検査では異常見えず 病変は中枢の神経可塑性にある 評価と治療を中枢神経へも広げる
疼痛がBrain-based 脳の学習による疼痛が固定化 脳を“再学習”させるアプローチが鍵
客観的指標が少ない 主観報告に依存 客観検査・神経生理測定の導入

8. まとめ:中枢性感作と向き合う

  • 中枢性感作は痛みの脳科学的現象であり、説明のつかない痛みの大きな原因

  • 多様な神経・免疫・心理・環境要因が複合的に関与する

  • 評価と治療は「炎症のある部位」だけでなく、「脳・神経系全体」に視野を広げる必要がある

  • 最終的には、「身体と脳を再教育する」形の再統合アプローチが最も有効です


ケース1:伸展型腰痛を抱える若年アスリート

再発性腰痛に“中枢性感作”が関与

概要
若年スポーツ選手(競技種別非開示)において、レントゲンやMRIには異常が認められないものの、腰椎伸展動作で持続的かつ強い痛みが再発。従来の筋・靭帯治療では改善しなかった。

検証と介入

  • 脊髄の不適切な運動制御と“痛み記憶”が主因と判断され、O’Sullivanらの運動制御改善アプローチを採用

  • 特定の姿勢(腰椎伸展)と心理的ストレス(試合不安)が中枢神経過敏のトリガーとなり、神経回路の再編が起きていると推定

  • 認知行動療法+運動リトレーニングにより、痛み消失と競技復帰を達成

ポイント:損傷が見当たらなくても、“中枢の学習”によって疼痛状態が維持される「神経疼痛」の典型例


ケース2:超マラソン選手における痛み感受性の亢進

長時間の運動による末梢・中枢の過感作

報告
北欧の超マラソン(数十〜百km)における競技中、脱水・疲労・ストレスが脈拍、乳酸、自己報告上の「筋肉痛」「疲労感」などを悪化させ、中央神経系の反応過敏が確認された

解析

  • 長時間運動により末梢侵害受容器が過剰反応→中枢に伝達

  • グリア細胞や炎症サイトカインが蓄積し、中枢性感作状態を誘発

  • 終了後も筋肉痛が数日継続する慢性化リスクがある点が特異

意義:アスリートにおいても、過剰ストレスによる中枢性感作は十分に起こり得ることを示す貴重な競技フィールドデータ


病態生理:原因と機序の科学的裏付け

  • NMDA/AMPA受容体の過剰活性化→神経回路の可塑的強化

  • グリア細胞とサイトカインが脊髄レベルで「痛み信号のブースター」として作用

  • 心理的ストレスや恐怖・うつ・焦りが上位中枢にも中枢感作を誘導


対応戦略:多次元的アプローチの必要性

領域 方法 根拠・効果
運動制御再学習 姿勢・動作パターンの再教育(O’Sullivan手法) 痛み反応と運動調和を再構成
神経調整治療 TENS、EMSなど、感覚ネットワークへの非侵襲刺激 神経過敏の抑制と回復
認知行動療法 痛み教育・恐怖回避行動の矯正 不安・抑うつによる痛覚増強を制御
心理的支援 ストレス管理・マインドフルネス スポーツ心理的負荷からの回復
モニタリング fMRI・QST(定量的感覚検査) 感作レベルの客観評価

オリンピック選手への説明用まとめ

  1. 中枢性感作は“痛みの記憶化”による脳・脊髄の過敏状態

  2. 画像に異常がなくても“痛み神話”が進行していることがある

  3. 単一施術ではなく、運動・神経調整・心理・認知の包括的対応が必要

  4. 再発防止に向けて、“学習の書き換え”がカギ

  5. EMSなどを含む運動療法・神経調整が、パフォーマンスにも寄与


結論

アスリートの痛みには、「損傷=痛み」では説明できない脳神経系の変容が存在します。
これを理解し、再学習による神経回路の再統合を標的とした多次元的リハビリを行うことが、競技復帰やパフォーマンス維持に不可欠です。


【臨床戦略設計】ケースプレビュー

アスリート情報

  • 氏名:T.A.

  • 年齢・性別:26歳・女性

  • 競技種目:新体操(国際レベル)

  • 訴え:腰部~左臀部にかけての持続的鈍痛(6ヶ月持続)

  • 画像検査:MRI・CTともに異常なし

  • 問診所見

    • 痛みは日中常に3〜4/10、練習や試合前に7/10へ上昇

    • 過去のギックリ腰歴あり(2年前)

    • 試合パフォーマンス低下による自己否定感・不眠あり


1️⃣ 病態仮説と診断評価

項目 評価方法 所見
中枢性感作の疑い Central Sensitization Inventory (CSI) 46点(40点以上=高リスク)
認知的バイアス PCS(痛み破局化スケール) 高スコア「常に最悪を想像する」傾向
運動評価 腰椎伸展テスト・体幹制御 体幹保持中の過剰筋緊張と逃避反応あり
神経伝導 QST・触覚閾値検査 左側で触覚過敏(Allodynia)確認

2️⃣ 臨床戦略:統合アプローチ

【A】痛み再教育(Pain Neuroscience Education, PNE)

  • 「痛み=損傷」ではないことを脳神経レベルで説明

  • 痛みは防御反応が過剰になっていることを納得させる

  • 呼吸法・視覚イメージトレーニングを併用して恐怖心を緩和


【B】運動療法(再学習)

  • “回避→代償→再強化”の悪循環を断つ

  • O’Sullivan式:コントロール不能な代償動作を抑制

  • EMS誘導下での選択的筋活性化訓練

    • パフォーマンス筋 vs ガード筋の使い分け

    • 低出力EMSで深層筋再活性化+呼吸同調


【C】神経調整アプローチ(Neuromodulation)

  • 皮膚表面TENS(30分×週3)

    • 体性感覚刺激で脊髄後角の疼痛伝導を抑制

  • 迷走神経刺激型のリラクゼーション施術

    • 耳介部経皮電気刺激(taVNS)で中枢不安レベル低下


【D】心理的支援

  • 臨床心理士と連携して痛みの破局的思考・自己否定の修正

  • 認知行動療法(CBT)+マインドフルネス導入

  • 毎日5分の“自己肯定トラッキング”を課題として設定


【E】再発防止・社会復帰支援

  • 月1回のBIA+EMSセッションによる筋緊張モニタリング

  • 睡眠・ホルモン周期の連携トレーニング(女性特有)

  • パフォーマンスとストレス負荷の相関を記録し、試合時の負担軽減策を立案


プログラム展開(6ヶ月プラン)

期間 内容 到達目標
1ヶ月目 PNE+CBT導入、EMS刺激による選択的再学習 恐怖心・代償動作の抑制
2-3ヶ月目 通常練習へ段階的復帰、感覚再統合強化 日常の痛みスコア3以下維持
4-5ヶ月目 試合時プレッシャー下でのパフォーマンステスト “安全に動ける自分”の再構築
6ヶ月目 自己管理戦略の確立・チームへの教育展開 再発防止、メンター化支援

備考:再発しやすい要素への備え

  • 睡眠の質が悪化した際のアラート指標(HRVなど)導入

  • PMSや排卵痛など、女性ホルモン周期と痛みの関係把握

  • SNS等による“過剰な自己観察”への教育的ガイドも含む


結論

このようなアスリートの痛みには、単なる治療ではなく**「脳と神経のリハビリ」としての包括戦略**が不可欠です。
EMS、神経調整、認知行動療法のトリプルコンビネーションは、“非損傷性疼痛”に対する理論的かつ実践的な道筋を提供します。

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