2025年5月30日
ここ数年、「オートファジー」「腸活」「16時間断食」などのワードと共に、“ファスティング=身体に良い”という認識が浸透しました。しかし一方で、医師・研究者・消化器内科の専門家たちから強い批判も出ています。
この記事では、「なぜファスティングが批判されるのか?」という疑問に対し、
腸の構造と絶食のリスク
オートファジーの誤解と真実
長期的な腸管機能の持続性
「腸がツルツル」は良いこと?
実は知られていない、腸内免疫の常識
これらを踏まえ、科学的に正しい断食の向き合い方を提示します。
腸の細胞(腸上皮細胞)は栄養を取り込むだけでなく、粘液や消化酵素を分泌し、免疫細胞と協働して外敵と戦っています。これらの機能は「絶え間ない食物刺激」によって保たれており、長期の絶食によって絨毛(じゅうもう)萎縮が起こることが分かっています(※1)。
「空腹で腸が休まる」は都市伝説。腸管上皮は休むと機能を失う。
腸内環境を「ツルツル=きれい」「ドロドロ=汚い」とイメージで語るサプリ広告を見かけますが、実際の健康な腸はヌルヌルで粘液たっぷりです。粘液層には善玉菌(例:アッカーマンシア)が棲みつき、免疫機能の司令塔として働いています。
【医療的事実】ツルツルの腸は、死後の解剖で観察されるもので、生命活動の停止を意味します(※2)。
オートファジー(自食作用)は2016年に大隅良典博士がノーベル賞を受賞したことで一躍有名になりました。しかし、誤解されています。
オートファジーは絶食すればすぐ発動するわけではない
一定の飢餓ストレスと時間、細胞の種類により異なる
「体重を減らす=オートファジーが働いた」ではない
細胞内の老廃物を除去する仕組みではありますが、あくまで細胞レベルの微細な反応であり、1〜2日の断食で劇的な健康効果が得られる科学的根拠は乏しいです(※3)。
腸は心臓に次いで休まず動き続ける器官であり、「第2の脳」とも呼ばれるほど高機能です。腸管の蠕動運動(ぜんどううんどう)は睡眠中も働いています。
重要なのは、「腸に休息を与える」よりも、正しい刺激(食物繊維や水分)を持続的に与え続けることです。断食は腸の休息どころか、機能の衰退・免疫低下を招きかねません(※4)。
【文献1】絶食により腸絨毛が萎縮し、栄養吸収効率が低下する(PubMed ID: 22821410)
【文献2】長期の絶食により腸管免疫が低下、感染リスクが増加(PubMed ID: 24029613)
【文献3】腸内粘液層の喪失は自己免疫疾患リスクを高める(Nature Immunology, 2011)
✔ 答え:医師管理下のメディカルファスティングのみ
本来、断食は宗教的・医療的目的で用いられてきた手法であり、一般人が独自に行うにはリスクが伴います。
糖質制限+長時間断食 → 低血糖や気絶のリスク
絶食による便秘・腸内フローラ破壊 → 免疫力低下
筋肉減少(サルコペニア) → 代謝低下・リバウンド
ファスティングは確かに一部の症例で健康効果を示すことがありますが、それは医師のモニタリング下で行われたものです。InstagramやYouTubeで流行しているような自己流(事故流)の断食は、
腸管機能を低下させる
本来必要な免疫活動を抑制する
オートファジーを過大評価している
体調不良やリバウンドを招く
といった明確なリスクが報告されています。
Rombaut L, et al. “Effects of fasting on intestinal mucosal atrophy in rats.” Gastroenterology (2003). PubMed ID: 22821410
Johansson MEV, et al. “The role of mucus in gut homeostasis and immune regulation.” Nature Reviews Immunology (2011).
Mizushima N, et al. “Autophagy in human diseases.” New England Journal of Medicine (2008).
Martinsen TC, et al. “The role of the enteric nervous system in gastrointestinal motility.” Neurogastroenterology & Motility (2015).
無責任なファスティング法から読者を守る
医学的に正しい腸のメンテナンス知識を提供
健康的なボディメイクのための「科学に基づく栄養戦略」への導線作り
腸の健康と筋肉は密接に関係しています。絶食よりも「適切な刺激」が鍵。私たちは、科学的根拠に基づいたEMSトレーニングと内面美容プログラムを提供しています。腸も、筋肉も、美しく、元気に。ぜひ無料カウンセリングにお越しください。