2025年5月31日
「何をしても疲れが取れない」「朝からだるい」「カフェインや甘いものでなんとか乗り切っている」——こうした慢性的な不調に悩む人が増えています。
このような状態を説明する言葉として知られるようになったのが「アドレナル・ファティーグ(副腎疲労)」という概念です。一般には医療の正式な診断名としては採用されていませんが、慢性ストレスがホルモン分泌に与える影響を科学的に捉えるうえで、注目を集めています。
この記事では、副腎疲労の正体とその背後にある生理学的メカニズム、医学的な議論、自分で治す力=自己治癒力との関係について詳しく解説します。
副腎疲労とは、副腎(adrenal glands)の機能が過剰なストレスにより低下し、**コルチゾール(ストレスホルモン)**の分泌が乱れてしまう状態を指します。
副腎は左右の腎臓の上にある小さな内分泌器官で、主に以下のホルモンを分泌しています:
コルチゾール(ストレス耐性、血糖調整、炎症抑制)
アドレナリン/ノルアドレナリン(緊急時の「戦うか逃げるか」反応)
アルドステロン(電解質・血圧調整)
DHEA(性ホルモンの前駆体、抗ストレス)
副腎疲労では、これらのホルモンの分泌が過剰または枯渇状態になり、結果的に慢性的な疲労や不調が生じます。
実は、「アドレナル・ファティーグ」は正式な疾患名ではなく、エビデンスの賛否が分かれている概念です。
2016年の系統的レビュー(Cadegiani & Kater, BMC Endocrine Disorders)では、「副腎疲労を裏付ける明確なホルモン異常の証拠は乏しい」と結論づけられています。
一方で、慢性ストレスが**HPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)**に影響し、コルチゾールの昼夜のリズムが崩れることは多くの研究で示されています(Miller GE et al., Psychosomatic Medicine, 2007)。
つまり、「副腎疲労」という言葉は医学的にあいまいながらも、ストレスによるホルモン調節障害が身体に与える影響について注目すべき示唆を与えています。
朝起きられない/昼過ぎまでエネルギーが出ない
ストレスに過敏になる(音・光・人間関係)
コーヒーや甘いものでやっと活動できる
性欲の低下/月経異常
むくみ/体重増加/集中力低下
副腎の疲労が進むと、全身のホルモン調整機能に悪影響を及ぼします。特に女性は、エストロゲンやプロゲステロンの分泌にも影響が出やすく、PMSや更年期症状が悪化する場合もあります。
副腎疲労と密接に関連するのが「自律神経系」です。ストレスを感じると交感神経が優位になり、副腎からコルチゾールとアドレナリンが放出されます。
しかし、これが長期間続くと…
自律神経のバランスが崩れ、
コルチゾールの分泌が枯渇し、
睡眠障害・消化不良・慢性疲労が悪化
という負のスパイラルに陥るのです。
副腎を“回復”させるには、何よりもストレスのコントロールと生活習慣の見直しが不可欠です。
→ 副腎ホルモンの回復は、深夜の睡眠中に最も活性化されます。
→ 甘い物の乱用はコルチゾールの乱高下を招く。良質なタンパク質・脂質を中心に。
→ コーヒーは副腎を「ムチ打つ」行為に近く、疲労の悪化要因。
→ 横隔膜を使った「腹式呼吸」で副交感神経を刺激し、副腎を休める。
人間の体は本来、**ホルモンや免疫を自己調整する力(ホメオスタシス)**を持っています。副腎疲労が疑われるときこそ、外部の刺激や依存(カフェイン、薬)に頼るのではなく、身体が自然に回復する環境を整えることが重要です。
筋トレエステ銀座では、神経系の回復と副腎リズムの安定に着目した「低周波EMS×深層呼吸トレーニング」を導入。
自律神経にアプローチするEMSプログラム(副交感神経優位に導く周波数設定)
呼吸・姿勢・骨盤の調整による内臓疲労の軽減
睡眠の質や基礎代謝アップを目的とした“副腎リセットコース”
こうした手法を通じて、「外から治すのではなく中から回復する力」を呼び戻すサポートをしています。
副腎疲労に特効薬はありません。だからこそ、自分の身体と向き合う時間こそが、最大の治療です。
🔹疲れがとれない方へ。まずは呼吸・姿勢・ホルモンバランスをチェックしてみませんか?
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Cadegiani FA, Kater CE. (2016). Adrenal fatigue does not exist: a systematic review. BMC Endocrine Disorders, 16(1):48. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27756252
Miller GE, Chen E, Zhou ES. (2007). If It Goes Up, Must It Come Down? Chronic Stress and the Hypothalamic-Pituitary-Adrenocortical Axis. Psychosomatic Medicine, 69(3), 241–246.
日本内分泌学会ガイドライン(2021)副腎機能低下症の診断と管理
Guyton AC, Hall JE. Textbook of Medical Physiology, 13th Ed.
Sapolsky RM. (2004). Why Zebras Don’t Get Ulcers. New York: Holt Paperbacks.
『ストレスと内分泌機能の関係』医歯薬出版(日本神経内分泌学会誌より)