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電気筋肉刺激(EMS)の最前線:世界の研究動向と応用可能性

2025年6月8日

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スポーツEMSトレーニング

電気筋肉刺激(EMS)の最前線:世界の研究動向と応用可能性

はじめに

電気筋肉刺激(Electrical Muscle Stimulation, EMS)は、リハビリテーション、スポーツトレーニング、健康増進など多岐にわたる分野で注目されています。本コラムでは、2024年から2025年にかけて発表された最新の研究成果をもとに、EMSの効果、安全性、応用範囲について概観します。


1. 筋力強化と筋量増加への効果

EMSが筋力や筋量の増加に寄与することは、多くの研究で示されています。例えば、2025年に発表された研究では、抵抗運動中にEMSを併用することで、筋力と筋量の増加が促進されることが報告されました。この研究では、13の研究を分析し、約400人の参加者が対象となりました。EMSを使用したグループでは、使用しなかったグループに比べて、筋力と筋量の増加が有意に高かったとされています。


2. 医療・リハビリテーション分野での応用

EMSは、医療やリハビリテーションの分野でも有望な技術とされています。2024年のメタアナリシスでは、集中治療室の患者において、EMSが筋力の維持や回復に効果的であることが示されました。また、心不全患者に対するEMSの使用が、リハビリテーションの効果を高める可能性があることも報告されています。


3. 認知機能への影響

EMSが認知機能に与える影響についても研究が進められています。2024年の研究では、EMSが脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌を促進し、認知機能の向上に寄与する可能性があることが示されました。この研究では、EMSが筋肉からのマイオカインの分泌を促進し、抗炎症作用や神経保護作用を持つことが報告されています。


4. スポーツパフォーマンスの向上

EMSは、スポーツパフォーマンスの向上にも寄与する可能性があります。2024年の研究では、スキージャンプ選手を対象に、EMSがジャンプの踏み切り動作や感覚に与える影響を調査しました。その結果、EMSがジャンプ時の膝関節の最大角速度を有意に向上させ、跳躍しやすさや高さ、速さの感覚が得られることが示されました。


5. 安全性と最適な使用法

EMSの安全性と効果を最大限に引き出すためには、適切な使用法が重要です。2024年の研究では、EMSの効果と快適性を向上させるために、刺激パラメータや電極の配置を最適化することの重要性が強調されました。また、過度の電気刺激が筋肉を収縮させ、筋疲労を悪化させる可能性があるため、個々の筋疲労の度合いに応じた電気刺激の強度の調整が必要であるとされています。


おわりに

EMSは、筋力強化、リハビリテーション、認知機能の向上、スポーツパフォーマンスの向上など、多岐にわたる分野で有望な技術です。今後も、さらなる研究と技術の進歩により、EMSの応用範囲は拡大し、より多くの人々の健康と生活の質の向上に寄与することが期待されます。


参考文献

  1. Bajpeyi, S. et al. (2025). “Making your workouts more ‘electric’ could increase muscles and build strength, says new study.” European Journal of Applied Physiology.

  2. Frontiers in Neurology. (2024). “The effect of electrical stimulation in critical patients: a meta-analysis.”frontiersin.org

  3. MDPI. (2022). “Efficacy and Safety of Acute Phase Intensive Electrical Muscle Stimulation in Frail Older Patients with Acute Heart Failure.”

  4. BMC Musculoskeletal Disorders. (2024). “Impact of electrical muscle stimulation-induced muscle contractions on systemic analgesia.”

  5. Digital Nature Group, University of Tsukuba. (2024). “EMSJUMP: Electrical Muscle Stimulation as a Wearable Training Tool for Take-off Phase of Ski Jumping.”digitalnature.slis.tsukuba.ac.jp

  6. Frontiers in Sports and Active Living. (2024). “Unlocking the potential of neuromuscular electrical stimulation: optimizing stimulation parameters.”frontiersin.org

  7. J-STAGE. (2024). “EMSを利用した筋疲労回復バイオフィードバックシステムの提案.”