2025年6月8日
――悪を討つのは、鍛え抜かれた意志と、電気の閃光(いかずち)――
時は2089年。筋肉がすべてを支配する都市《M-CITY》。
この街の正義は「筋肉指数(M.I.=Muscle Index)」で決まる。
警察、裁判官、政治家――どんな権力者も、筋肉がなければ何者でもない。
そんな街に、ただ一人、異端の刑事がいた。
彼の名は――EMS(イーエムエス)刑事。
全身に医療用EMS(電気筋肉刺激装置)を埋め込み、筋肉の代わりに電気で戦う男。
人呼んで――「筋力ゼロの最強刑事」。
ある晩、謎の犯罪組織《ATROPHY(アトロフィー)》が、市民の筋肉を無差別に奪う事件が発生。
被害者の体はスカスカ、M.I.は0.02――立つことすらできない。
現場に現れたEMS刑事は、深くフードを被り、静かに犯人の痕跡をスキャンする。
EMSモード:スキャン・オートロック・スタンバイ
筋電波形一致率98.7%。標的は元M-CITYボディビル王・Dr.マッソー。
EMS刑事の目が静かに光る。
「……筋肉を、悪用するな。」
Dr.マッソーは違法EMSで自らの筋肉を電気的に暴走させ、
「筋肉肥大感染症(マッスル・ハイパーシス)」を引き起こす超人と化していた。
逃げ惑う市民。爆発するトレーニングジム。
暴れる筋繊維の怪物に、もはや誰も手が出せない。
そのとき――
「制御周波数:11.3kHz、神経筋抑制モード、起動!」
EMS刑事の全身スーツが青白く光る。
電流は皮下を駆け抜け、彼の体を強制的に“収縮”させ、限界を超えたパンプを実現する。
バチバチッ…!ズガァァァン!!
「貴様の筋肉は、暴走している。ならば、俺が抑制しよう」
筋肉VS電気。究極の一騎打ちが始まった――!
EMS刑事は自らの限界を超え、
“筋肉を持たない者”が“筋肉の暴力”に勝利するという伝説を刻んだ。
だがその代償は大きかった。
全身の神経筋接続系が焼き切れ、彼は意識を失った。
市民は見守る。
やがて目を開けたEMS刑事は、こうつぶやいた。
「筋肉が正義じゃない。使い方が正義なんだ。」
彼のスーツには、こんな文字が浮かび上がる。
“Electro Muscle Service”
“正義の電撃は、筋肉を超える”
『筋肉刑事EMS 2:マッスル連邦の逆襲』
『筋肉刑事EMS 3:収縮の果てに』
『筋肉刑事EMS ZERO:筋電誕生編』
PubMed: “Neuromuscular electrical stimulation for muscle strengthening in rehabilitation”
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22539057/
米国NIH: Electric stimulation in advanced musculoskeletal therapy
『筋トレエステ銀座』監修:EMSの都市型エンタメ応用構想