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精神病はうつるのか?

2025年6月11日

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【精神病はうつるのか?】

誤解を科学で正す:精神疾患の真実と私たちにできること


1. はじめに:「精神病はうつる」──その噂、どこから?

「うつ病の人のそばにいると自分も暗くなる」
「統合失調症って伝染るの?」
「情緒不安定な家族といると、自分まで疲れてしまう」

こうした“伝染説”は、職場や家庭、SNS上でも頻繁にささやかれます。しかし結論から申し上げると、


❌ 精神病(精神疾患)は感染症ではありません。うつりません。


2. 「精神病=うつる」は医学的に誤り

◉ 精神疾患は細菌やウイルスによる感染症ではない

精神疾患とは、脳の神経伝達物質のバランス異常、遺伝的要因、環境ストレスなどの複雑な要因が絡み合って発症する“非感染性”疾患です。

  • うつ病、統合失調症、双極性障害、パニック障害、PTSDなどは感染しません。

  • 飛沫感染や接触感染、空気感染といった**“うつる”メカニズムは一切ない**ことが世界中の学会で明確にされています。

「精神疾患に対する“感染”という表現は、まったくの誤りであり、患者に対するスティグマ(偏見)を助長する」
— 日本精神神経学会・倫理ガイドライン(2022年)


3. なぜ「うつる」と思われるのか?誤解の背景

① 共感疲労(エンパシー・バーンアウト)

例えば、うつ病の人の話を長時間聞き続けていると、「自分も気持ちが重くなってきた」と感じることがあります。これは**“情緒的共感によるストレス反応”**であり、医学的には「共感疲労(compassion fatigue)」と呼ばれます。

これは感染ではなく、心理的なミラーリング現象です。

② 家族や恋人に多い「共依存傾向」

精神疾患を抱える人の近くにいることで、自分の感情や行動が乱され、心身に悪影響が出ることがあります。これは「共依存(codependency)」という心理的な依存構造の一部で、決して「うつった」わけではありません。


4. 精神疾患の“本当のリスク”は「孤立と偏見」

◉ 誤解による距離感が患者をさらに追い込む

「うつるから関わりたくない」「精神病の人は怖い」といった誤解や恐れは、本人の孤立感・希死念慮(自殺願望)を増幅させます

「最も危険なのは、精神疾患そのものではなく、それに対する無理解と拒絶である」
— WHO(世界保健機関)メンタルヘルスレポート(2021)


5. 精神疾患に「うつりやすさ」が関係する場面はあるか?

◉ 遺伝的素因 + ストレス環境の重なりで“発症しやすさ”はある

  • うつ病や統合失調症は、遺伝的素因が影響します(例:一親等の家族に患者がいる場合、発症リスクが高まる)。

  • ただしこれは**「感染」ではなく「感受性の違い」**であり、ウイルスのような伝染ではありません。

「あくまで“疾患に対する脆弱性”が共通しているだけであって、“人からうつる”という概念は科学的に成立しない」
— アメリカ精神医学会(APA)


6. 科学的・学術的根拠まとめ

出典 内容
WHO Mental Health Report (2021) 精神疾患は非感染性疾患である
APA DSM-5-TR (2022) 感染性疾患との区別明記、偏見防止の記述
日本精神神経学会「精神障害と偏見に関する声明」(2020) “うつる”という誤解が偏見を助長すると指摘
PubMed研究レビュー(2018) 共感疲労と精神疾患の家族支援に関する研究

7. 精神疾患を正しく理解するためにできること

  • ✅ 精神疾患はうつらないと知る

  • ✅ 関わる人が心のセルフケアを行う(例:心理カウンセリング、ペアレントトレーニング)

  • ✅ スティグマ(偏見)を持たない・広めない

  • ✅ オープンダイアログ(対話による回復)を意識する


8. 結論:「精神病はうつる」は偏見。心の健康は、正しい知識から。

精神疾患は、決して“うつる”ものではありません。
その誤解が、本人だけでなく周囲の人の心まで傷つけています。

医学的にも科学的にも、「関わっても感染しない」「精神疾患の人と関係を築くこと自体は安全である」ことは明確です。

今必要なのは距離をとることではなく、理解とケアのある“近さ”です。


参考文献

  • WHO. World Mental Health Report, 2021.

  • American Psychiatric Association. DSM-5-TR, 2022.

  • 日本精神神経学会「精神障害と偏見に関する声明」2020

  • Figley, C. R. (2002). Compassion Fatigue: Coping With Secondary Traumatic Stress Disorder

  • Perry, B. D. et al. (2013). Born for Love: Why Empathy is Essential


必要であれば、公共機関や信頼できるカウンセラー・精神科の相談窓口もご紹介可能です。どうぞお気軽にお知らせください。

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