はじめに:高血圧という“国民病”と私たちの選択肢
日本人の3人に1人が高血圧という現実をご存じでしょうか?
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、特に40歳以上の男性の約60%、女性の約45%が高血圧に該当するとされています。高血圧は静かなる殺し屋(サイレントキラー)とも呼ばれ、脳卒中・心筋梗塞・心不全など命に関わる疾患の主要因です。
これまでの治療は主に降圧薬に依存してきましたが、薬には副作用や継続的な依存という問題もあります。
本記事では、科学的根拠に基づき、電気刺激療法(EMS:Electrical Muscle Stimulation)を活用した新しい高血圧対策について解説し、健康的なライフスタイルと両立する選択肢を提案します。
高血圧治療における薬物療法の現実
高血圧治療において最も普及しているのが薬物療法です。代表的な降圧薬には以下のようなものがあります:
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カルシウム拮抗薬(例:アムロジピン)
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ACE阻害薬(例:エナラプリル)
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ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬、例:ロサルタン)
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利尿薬(例:ヒドロクロロチアジド)
これらは、収縮期・拡張期血圧を下げ、動脈硬化の進行を防ぐ目的で使用されます。短期間で効果が現れやすく、重症例には必要不可欠です。
しかし副作用も見逃せない
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倦怠感、めまい、低血圧
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頻尿・脱水
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男性機能障害(ED)
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咳や浮腫など
また「一生薬を飲み続ける」という前提に不安を感じる方も少なくありません。生活習慣の改善を行わず薬に頼るだけでは、根本的な解決にはなりません。
EMSとは何か?──電気刺激が導く“筋肉からの血圧改善”
EMS(Electrical Muscle Stimulation)は、筋肉に対して外部から電気刺激を与え、収縮運動を人工的に発生させる医療・運動技術です。整形外科やリハビリ領域では、萎縮した筋肉の再教育や、神経疾患のリハビリに用いられてきました。
最近では美容・フィットネス業界でも注目されており、「短時間で効率的な筋トレが可能」として、健康志向の高い層に人気です。
なぜEMSが血圧に効くのか?
特に注目すべきは、EMSによる次の2点です:
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末梢循環の改善効果:ふくらはぎや大腿部など、第二の心臓と呼ばれる筋肉を刺激することで、静脈血の還流が促進され、血管内圧が安定します。
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交感神経抑制による血圧低下:EMSは副交感神経を優位にし、ストレス由来の交感神経緊張を抑える効果も報告されています。